|
― 世界に会う夏 ―
MAMAAFRICA
南アフリカでワールドカップが行われたことにより、アフリカ大陸の音楽文化にスポットがあたる機会が俄然増えてきた。言うまでもなく、この大陸をルーツに持つ音楽文化は数限りなく、ブルース、ジャズ、ヒップホップ、R&B、ソウル、レゲエなどなど、すべてのブラック・ミュージックはアフリカからの影響を何らかの形で留めているとも言えるだろう。また、アフリカから連行された奴隷たちは各地に独自の音楽スタイルを築き上げ、その枝葉が現在も伸び続けていることも忘れてはいけない。音楽の故郷、アフリカ。この夏、その醍醐味を存分に堪能することができるイベントが開催される。
“SukiAfrica”
SUKIYAKI ALL STARS〈スキヤキ・オールスターズ〉
are:
CHIWONISO 〈チウォニーソ〉
ERIK ALIANA 〈エリック・アリアーナ〉
PETER SOLO 〈ピーター・ソロ〉
CHANG JAEHYO 〈チャン・ジェイヒョ〉
SAKAKI MANGO / N'DANA
共演 : Nudge! Nudge! Gran Mercado
まず、8月25日に渋谷CLUB QUATTROで行われるWスキアフリカ ・ スキヤキ・オールスターズW(以後:WスキヤキW)。このイベントは毎年富山県南砺で開催されているスキヤキの東京初上陸版。今年で20年目を迎える同イベントは、なかなか観ることのできない各国のアーティストが一挙集うことから、県外からも多くの観客が訪れる人気イベントだ。今回のWスキヤキWではこれまでのスキヤキ・ミーツ・ザ・ワールドに出演した面々によるスペシャル・セッションが行われることになっており、「オールスターズ」の名に恥じないアーティストが揃う。
ジンバブエからやってくるのは、ホロホロと可愛らしい音色を奏でるムビラ(親指ピアノ)のプレイヤー、チウォニーソ。シンプルな構造を持つムビラという楽器の可能性を常に提示しながら、アフリカの魂を紡ぎ続けるレベル・ウーマンである。
西アフリカのトーゴからは、現地のヴードゥー文化にラテンやゴスペルのスパイスを混ぜ込んで、まったく新しいトーゴ音楽を創造するピーター・ソロがやってくる。強烈なトランス感を秘めたそのパフォーマンスに期待したい。カメルーンからはエリック・アリアーナが来日。アフリカン・リズムが持つ圧倒的な躍動感と美しさを堪能させてくれるそのパフォーマンスは各国から高い評価を得ており、06年、07年のWスキヤキ・ミーツ・ザ・ワールドWでは熱狂のライヴを展開した。
これら3人のアフリカ人アーティストに加え、韓国の伝統打楽器を使用してボーダレスなリズムの世界を展開しているチャン・ジェイヒョ(韓国)、親指ピアノによって怒濤のサイケデリック・ワールドを描くサカキマンゴー(日本)、アフリカン・ビートを消化吸収した独自のスタイルを打ち出す3人組、ンダナ(日本)が参加。
しかもアフリカ勢を中心にした個性派揃いのメンバーが互いの楽曲にアレンジを加え、ひとつのバンドとして演奏する、という壮大なプランも予定されている。まさにこのイベントならではのスペシャル・セッション。大いに期待したい。競演は、ROVOのドラマーでもある芳垣安洋が率いる打楽器集団、Nudge! Nudge! Gran Mercado。今回は高田漣(ペダルスティール)、U-zhaan(タブラ)、駒澤れお(ジャンベ)が加わった特別編成でのライヴが予定されており、こちらのステージにも注目したい。
“SHINEHEAD & DAWN PENN JAPAN TOUR 2010”
SHINEHEAD〈シャインヘッド〉
DAWN PENN 〈ドーン・ペン〉
Backed by ALPS BAND
Sound : ANTHONY GATLIN〈アンソニー・ガトリン〉
Dance : GANA GANA
また、もうひとつの注目イベントが、レゲエ・ファンならば説明不要の超ビッグネーム、シャインヘッドのジャパン・ツアーだ。多くの才能がシノギを削る戦国時代の様相を呈していた80年代のダンスホール・レゲエ・シーンで頭角を現し、その後ダンスホールとヒップホップの垣根を超えたスタイルを確立。ジャマイカからニューヨークへと拠点を移した後は、スティングの名曲“Englishman In New York"をリメイクした“Jamaican In New York"が大ヒットを記録し、世界的なダンスホール・ブームの立役者のひとりともなった。日本ではポップな“Jamaican In New York"のイメージがひときわ強い彼だが、そのバックボーンにあるのはハードコアなダンスホール・スタイル。アフリカの呪術性すら漂うプリミティヴなダンスホール・トラックに乗って、シャインヘッドはどのようなパフォーマンスを繰り広げるのか。早くも日本のレゲエ・シーンでは話題沸騰中である。
なお、今回は日本でも人気の高いベテラン女性シンガー、ドーン・ペンを伴っての来日。60年代半ば、まだローティーンだった十代半ばにデビューを飾り、90年代に入ってからは自身の代表曲をセルフリメイクした“You Don't Love Me(No, No, No)"が大ヒット。以降もマイペースな活動を続けており、こちらのステージにも期待したい。
2人のレジェンドを支えるのは、日本人ダンスホール・バンド、ALPS BAND。活況を呈するジャパニーズ・ダンスホール・シーンのなかで精力的な活動を繰り広げる彼らがバックを務めるとは、何とも豪華なコラボレーションである。また、今回はシャインヘッドとの縁も深いアンソニー・ガトリンがセレクターを担当。西麻布の名物クラブ、クラブ・ジャマイカのクルーとして名を馳せ、現在プロモーターとしても活躍する彼のセレクションが会場を暖めてくれるはずだ。
母なる大地、アフリカで芽を出し、今や世界中へとその枝葉を伸ばしている音楽の輪。8月に行われるこれらの公演を体験することで、永遠に枯れることのないその豊かな魅力を再発見できるはずだ。
|