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INTERVIEW

見えないものを
イラストという「形」に表すということ

オオクボリュウ
イラストレーター/NQ30メインビジュアル担当
今回、来場者をあっ!と驚かせる名古屋クラブクアトロの新しいチャームポイントとなった会場内の喫煙室・柱へのアートペイントを手掛けるイラストレーター、オオクボリュウさんにインタビュー。ご自身の音楽の原体験から今回のクアトロ30周年のビジュアル、その独特な作風についてまで興味深いお話を伺うことができました。
―オオクボさんの音楽との関わりはどのように始まりましたか?
子供の頃の原体験でいくと、「イエロー・サブマリン」です。母親がデザイン関係の仕事をしているんですが、子供の頃の僕に、素敵なものを観せてあげようとしたのかな。曲のPVを観たんだと思うんですが、アニメーションももちろん格好よかったですし、曲自体も好きでした。ビートルズ自体、すごく好きなんです。懐が深いというか、その後に聴く音楽を広げていくのにもちょうど良かったかもしれないですね。そこからTHE WHO。中学や高校の頃は一人で古いロックを聴いてばかりいましたから、THE WHOの来日コンサート(2008)も一人で観に行きました。その流れでTHE KINKSとか1960年代のイギリスのモッズシーンの音楽はよく聴きました。

柱のペイント

―当時、オンタイムの音楽は聴きましたか?
高校の頃になるとクラシック・ロックも聴きながらHIPHOPも聴くようになりました。ロックとHIPHOPには反骨精神というか、10代の気持ちを代弁してくれているような共通点を感じます。僕自身には反抗期は特になかったんですが、「何か違うな」「僕の考えの方が合っている」というような漠然とした思いはあったと思います。今はストリーミングを中心に音楽・動画配信で、古い音楽も今の音楽も、同じ手軽さで聴くことができるじゃないですか。だから今の方がむしろ、音楽の新旧にあまり垣根を作らずに聴けると思います。
―クアトロ30周年の今回のメインビジュアルについてお聞かせください。今回の30周年というテーマや音楽もそうですが、形のないものを具現化する時に大切なことはどのようなことですか?
いろんなものが頭でどう変換されているかは言葉にしにくいですね。ただ、MVのように音楽からイメージして絵を表していくというのは、非常に有効だなと思っています。自分の発想やイマジネーションも、より濃いものになっていきますし。今回の「名古屋クアトロ30周年」は、かなり妙な絵が出来上がりましたね。アートディレクターの前田さんからは、説明的でなくていいと言われていましたし。モチーフにしたのはクアトロ(QUATTRO)の「Q」。あとはQの円を利用して何かが連続して変化している感じを表しています。僕自身も名古屋クアトロと同じく30才なんですが、この30年の変化や成長してゆく様を絵の中で表現できればと思いました。

喫煙室のペイント

―ご自身の作風について。ポップでありながら何か危険で怪しい空気を漂わせているようにも見えます。
そういう風によく言われるので、僕が意図していることがちゃんと伝わっていて安心しました(笑)。その辺りは今までに好きになったものから影響を受けているんじゃないでしょうか。ウルトラQ、Xファイル、ティム・バートン、水木しげる、ディズニーも。ちょっと怖いものや、不気味さを直接描かずに漂わせる。実際描かないけれど、ハードなモチーフを内に秘めているような。服を着ているけどエロティックであったり。絵のタッチとしては、劇画的で写実的なものは情報や説明が多すぎる気がして自分の作風とは相反するかなと思います。手塚治虫や藤子不二雄、赤塚不二夫とかの絵は可愛いですよね。線もシンプルだし、僕はそういうタッチが好きです。
―イラストレーションやアニメーションで、今後実現したいことなどは?
例えば僕の描いたイラストでテレビゲームを作ることもできるし、ストーリーがあれば漫画にもなる。今回は名古屋クラブクアトロ30周年という「お題」を頂いて、それに沿ったイメージをイラストで表現しています。一方では、僕が描いたイラストを他の作品に汎用することもできるわけで、その可能性の広がりは魅力的だし、やりがいを感じています。イラストレーションって、どんな世界を書こうが無限大に自由なので。

最後の仕上げ。喫煙室のイラストにサインしています。

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オオクボリュウ
イラストレーター/NQ30メインビジュアル担当
名古屋クラブクアトロ30周年企画のメインビジュアルを担当。
イラストレーションとアニメーションを主な表現とし、ミュージックビデオ、雑誌や広告、アパレル、内装などを手がける。シンプルな線画をはじめ、エアブラシや水彩、デジタル等、その時々のテーマや興味によって表現方法が変遷する。 個展「Like A Broken iPhone | アイフォン割れた」(2016年、CALM & PUNKGALLERY) 、宮澤謙一 (magma) との二人展「GRANDMOTHER」(2016年、TOKYO CULTUART byBEAMS)などで作品を発表。同年に初作品集を出版。